速いとかドリフト出来るではなく、本当に運転が上手いのは上級ドライバー
JR福知山線脱線転覆事故は
回避可能だった
回避可能だった
タイヤのグリップ力は縦横方向に力を分散させながら、コーナリングと加減速で発生する力とバランスを保ちます。自動車がコーナリング中に曲がりきれずにコーナリングライン(軌道)を外れる場合には、タイヤは横滑りを起こします。いわゆるアンダーステアやオーバーステアと呼ばれる物理的現象です。電車の軌道はレールです。加減速については金属摩擦によりレール上を転がる台車の回転力で調整しますが、ステアリングを持たない電車のコーナリングは軌道(レール)のままです。
つまりタイヤのような横滑りを起こすことはなく、限界で突然軌道を外れる(浮き上がる)のです。その時の台車には凄まじい負荷がかかります。わかりやすく図を書きましょう。
脱線場所接線方向にマンション
図を見て考えてみて下さい。電車がブレーキ制動していなければ赤丸部分が受け持つ力は1両目だけ。急制動をかけると7両分(正確には7両分全てではないが制動時間が長いと7両分に近い)の慣性重力が赤丸部分にかかる。そうなると台車が破損に耐えられなくなった瞬間、または台車が線路を乗り越えてしまった瞬間に、電車は線路離脱地点から接線方向に一直線に向かってしまいます。その場所がマンションだったとしたら・・・
運転士が行うべきだった操作
電車の限界スピードコーナリングを運転士が唯一コントロール出来るのは前後方向の力、すなわち加減速しかないのです。この操作を過ったら電車は限界を越えてしまうのです。
運転士が緩和曲線でブレーキ制動を解除すれば右台車が浮き上がりながらも300Rを曲がりきれた可能性があります。JRの技術担当者は「当該電車の300Rの限界コーナリング速度は133キロ」と言っており、推測されている300Rへの進入速度108キロなら曲がれたのではないでしょうか。運転士は亡くなっているので、制動を始めた場所は不明です。事故を起こした電車の最高速度性能を考えれば緩和曲線でブレーキ制動を解除もしくは大きく緩めたとしても133キロを超えていることはありません。極端なことを言えばブレーキ制動しなければ曲がれたかもしれません。
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