速いとかドリフト出来るではなく、本当に運転が上手いのは上級ドライバー
JR福知山線脱線転覆事故は
回避可能だった
回避可能だった
2019年9月5日に京急本線で発生した電車と大型トラックの踏切衝突事故。報道でしか知りえない情報が多かったので不明なことばかりです。ただしトラックの運転手、電車の運転士ともにプロとして最善を尽くしたか否かには疑問が残ります。この事故の報道を見ていて、2005年(平成17年)4月に起きた「JR西日本福知山線脱線転覆事故」を思い出しました。あまりにも被害が大きく悲惨な事故だったため、事故詳細の多くが報道され、様々な証言や検証があった中で私が専門家として出した結論がありました。
プロは上級であるべき
私は高速自動車運転士であり、電車運転士ではありませんが、限界速度コーナリングの専門家です。 ある有名サイトに執筆していた頃「専門外の人間が勝手な推論をするな」とか「自動車と電車は全く別もの」と少なからず非難を浴びたこともありました。 電車運転士とドライバーは、ともに運転者でありながら全く別の存在です。ですからドライバーの記事に電車の話は不要と多くの方が思うでしょう。普通ドライバーがテーマならばそのとおりです。上級ドライバーの定義の中には高度なドライビングスキルも含まれます。ですから運転技術に上級を求める方、とくに公共交通に関わるプロドライバーには、この事故から改めて考えて頂きたいと思います。
事故原因は運転士
事故の2年後の4月頃には報道番組で「JR西日本福知山線脱線転覆事故」が取り上げられていました。その内容を見るに「事故原因は未だに解明されていない」とか「JR西日本の企業体質」ばかりで、事故の核心に触れた報道を見る機会はありませんでした。
事故の原因究明は事故の再発防止に役立たねばなりませんから、ATS(自動列車停止装置)を導入することで事故現場への列車進入速度を規制したJR西日本の方策は間違っていません。でもそれだけで良いのでしょうか?
「JR西日本福知山線脱線転覆事故」の直接誘因は運転士のスキル不足です。企業体質や過密ダイヤは間接誘因に過ぎません。もちろん、電車と自動車は違います。事故を起こした福知山線の電車は7両編成で自動車は単独1台、電車には台車金属車輪、自動車にはタイヤが付いています。
電車はレール上を、自動車は道路上を走っており、同じように考えるには無理があります。ただし、電車も自動車も同じ地球上を走る乗り物である以上、コーナリングと加減速においては物理的に同じ力を受けるのです。さらに電車は自動車よりも不利な条件を持っています。慣性重量(複数の車両が連結され多くの乗客が乗っている)の大きさ、そしてレール上を走ることです。
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