速いとかドリフト出来るではなく、本当に運転が上手いのは上級ドライバー

ドライビングとは何か
運転がスポーツでも遊びでも上手くて、カッコよければいい。そもそもスポーツも遊びに含まれると考えてもおかしくない。しか~し、クルマをコントロールする事を甘くみてはいけない。筆者がかの昔に参戦していたスーパーN1耐久で、2時間近く連続でサーキットドライビングを続けると体重が2kgくらい減ってしまい、マシンを降りると足元はフラフラした。歯を食いしばり過ぎて、顎関節症になった事もある。ブレーキングGや横Gに耐え続けながら、正確なドライビングを続けることはクルマとの格闘だ。
耐久レースだけではない。サーキットを僅かに10~15ラップ程度するだけのスプリントレースでも、ライバルと競いながら全力を出しきって走り続ける事は並大抵の集中力ではないのだ。ターマックモータースポーツ(舗装路を走るもの)には色々あるが、体を消耗する点でレースは最もスポーツ性が高いといえる。サーキット走行を体験した事のない多くの方に「ドライビング」を理解いただくために、少しまわりくどい話を書く。しばらく我慢して読み続けていただきたい。サーキットを走る事が目的でなくとも運転が上手になる指針になると思う。

ドライビングは車を選ばない
「ドライビング」追求に最適な車種はスポーツで間違いない。エンジンパワーがあり、車重が軽い、豊富なスポーツパーツが準備されていれば文句なし。スポーツカーとファミリーカーを比べてみよう。例えばビッツは居住性や経済性重視の実用的FFベーシックカーである。スポーツカーも日常のタウンユースが可能で、サーキットまで自走してゆける。ここで、一般公道では大きく価値観の異なる2種類の乗用車が同じサーキット走行を目的とする点に注目したい。ビッツでもスポーツカーでもサーキット見物に出かけペースカー誘導の体験走行を行なう場合は「アミューズメントドライビング」と定義。ビッツにロールバーと4点式シートベルトを装着してレースに出てしまった場合、スポーツカーでサーキットに通いつめてラップタイムを縮める事を目的として走りこむ事は「スポーツドライビング」と考えよう。つまり「ドライビング」の場合、アミューズメントとスポーツの違いは段階や意識なのである。これは、そのままスキーやゴルフに当てはまるスポーツ論だが、決定的な違いは日常性。スキーやゴルフが無くなっても日常生活には支障ないがクルマは違う。モータースポーツは非日常的と認識されがちでも「ドライビング」は、ドライバーにモータースポーツを日常的なものと認識させ、そのことが日常生活における交通環境から身を守る手段にもなり得る、きわめて社会的に有用なスポーツであることを気付かせてくれる。
「ドライビング」のために
選ぶならロードスター
免許証を取った息子に1600のロードスターを買い与えた。サーキットデビュー5周目でクラッシュした彼が今はロードスタードリフトの帝王になっている。彼がまだ定常円の練習(1本のパイロンの周りをドリフトでクルクル回る)をしていた頃、サーキットにドリコンの選手がやって来て「走って見せてあげるから貸してごらん」と彼のロードスターで定常円をやろうとした。何度やってもできない。選手のマシンであるチェイサー(2.5ターボの4ドアFR車)では簡単に出来る定常円がロードスターでは出来ないのだ。息子は私に「やっぱりロードスターではダメじゃん」と言ってくるので、私はロードスターで定常円を簡単にやって見せた。それ以来、彼はドラテクを車のせいにすることなく練習に励んで1600は1800に換装されて現在の地位を得ている。ロータリーターボのRX-7が大好きだった私も非力なロードスターを操る大切さを見直し、今ではドリフトレッスンレンタル車は全てロードスターとなった。レンタルを経て自身の車を買う生徒さんには必ずNB8Cロードスターを勧めるため、ワンメイクスクールの様相になってしまうこともあるが、それほどロードスターはドリフトレッスンという名の「上級ドライバー」修行に適しているのである。ロードスターの能書きは以下のサイトの中古車写真のキャプションにて。

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