速いとかドリフト出来るではなく、本当に運転が上手いのは上級ドライバー
Driving Technic 皆伝
「自分はクルマの運転が上手い」と思っている方は意外に多い。クルマの基本性能(特にタイヤとエンジンパワー)が飛躍的に向上した事が、多くのドライバーの錯覚を生んでいるとも言える。これを読んでいただいている運転にこだわりのある方ならば、タウンドライブやハイウェイドライブでは「腕に覚えのある」ドライバーである事は想像できる。それでもミラーを見るだけで車庫入れ出来る方は少ないだろうし、まして自在にドリフトできる方など普通のドライバーでは考えられない。ハイウェイドライブが得意な方でもサーキットが速く走れるとは限らないし、プロドライバーであるトラックやタクシーの運転手が優れたドライビングテクニックの持ち主であるとは考えにくい。一般公道のドライブにおいては、個々のドライバーの経験や持ち合わせる判断力が問われるものだ。
ドラテクにも基準が必要
筆者はドラテク検定なるものをスタートさせた。ドライビングテクニックに武道のような段位を与えようという試みである。ポピュラーなアミューズメントスポーツの例えではスキーが挙げられる。冬季オリンピックでは様々な戦いが繰り広げられるスキー競技。その一方、基礎スキーの技術認定にスキー検定なるものがある。3級・2級・1級・指導員と昇格し、資格者は何処のスキー場でも必ず見かけるスキー学校でスキーヤーの指導が行なえる。同じ事をモータースポーツでも考えてみた。多くの方は、モータースポーツの事を命がけで勝敗を決するリスキーなスポーツと認識しているだろう。しかし実際には、F1を頂点としてテレビ画面で目にするレースやラリーだけがモータースポーツではない。「クルマを運転する」という身近な行為がそのまま趣味のスポーツになり得るのである。クルマを自由自在に巧みに操ること。それはスキー板とストックの関係そのままの、タイヤとステアリングの関係なのである。
序章その2
一部のマニアだけでなく、クルマ好きの多くの方にドラテク皆伝を読んでいただき、ドライビングをスポーツとして再認識願いたい。多くのドライバーが今以上にドライビングテクニックへのこだわりを持てば、またモータースポーツがさらにスポーツとして社会的権威をもてば、暴走行為や交通事故は減少し、自動運転化と双璧を成す新たな日本のモータリゼーションとして変貌してゆくと筆者は確信しているのだ。ドラテク皆伝では多くのドライバーにとって身近に考えやすいターマック(舗装路)におけるドライビングについてお話しよう。
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